銀英伝ボード
ラインハルトについて
ラインハルト・フォン・ローエングラムとは一体、何者であったのか?
改革者としては専制政治の悪しき雛形を500年間踏襲してきたゴールデンバウム王朝を滅ぼして歴史にその名を刻み、だが同時に社会制度としての専制君主制は容れて用いたために歴史の針は巻き戻ったままだった。
また、敵対者のヤンと比べると歴史の連続性や後の時代を考えることにあまり関心をしめしていない。自らを偶像化も神格化もせず自身、不死足りえないことを十分に理解していながら彼は自らの死後には実力のあるものがその座につくべきだとも言っており、これは無用の混乱(ロイエンタール元帥の謀反など)を後に招く元凶ともなった。
これは明らかに責任ある立場のものが述べるべき言葉ではない。
ヤンがむしろ後世の歴史の為に戦ったのに比べ、彼は彼の覇気と欲求においてのみ戦ったのだ。
少なくとも「冬バラ園の勅令」以後の戦闘は彼の個人的欲求を満たすためにのみ行われ、万を超える死者とそれに倍する家族達の涙が捧げられたのである。
さて、ラインハルト・フォン・ローエングラムとは何者であったのか?
私から見れば彼は自らの半身すら守れなかった身勝手な最低野郎だ。
ヴェスターラントで幾万の無辜の市民を見殺しにし、それを直言してきた親友に彼はなにを持って報いたか?
彼の友人はその半生を彼ら弟妹に捧げてきた、その友誼と信頼になにを持って報いたか!?
私人としても、公人としても彼は未完成すぎる若者でしかなかった。
そして宇宙はその未完成すぎる若者に委ねられてしまったのだ。
極言すれば、彼の傍に赤毛の友が居たからこそ、彼は彼で居られたのだ。
その鞘が無くなった時、彼の鋭すぎる刃は無用の傷を他人に与えたのだ。
彼は天才だった。
しかし、彼の視界はそれゆえにこそ狭く、血に汚れていた。
・・・ラインハルト・フォン・ローエングラム、華麗なる天才にして
唯一の友すら死に至らしめた信じがたい愚者。
▽ フォローする
銀英伝が好き!にもどる